Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

ピアノ

長年待ちこがれていたピアノが遂に我が家に届きました。

ピアノを弾く娘。

ピアノを弾く娘。

私の姉がピアノを習っていたので、私は物心ついた頃からピアノを弾ける環境で育ちました。姉が弾いている曲を見よう見まねで弾いていた為、それを見た両親が、「はるきは音楽が好きなのかもしれない。」と思い、ピアノのレッスンに通わせてくれるようになりました。5歳の時だったと思います。社宅の仲良しのお友達のお母さんがピアノの先生だった為、移動が社宅の中で完結していた上、いつもお稽古の前後には友達と遊ぶことができ、親にとっても私にとっても便利な環境でした。

引っ越してからもピアノを続け、高校3年生になるまでレッスンを受け続けました。先生は音楽と向き合う姿勢には厳しさのある人でしたが、本当に沢山のことを教わり、音楽を通じての言葉や文化、考え方と言ったことまで教えてもらうことができました。そんな環境でピアノを続けられたせいか、小学校から何かの機会にはピアノ伴奏を引き受けるようになり、さらに、言葉で苦労した米国留学時代に、音楽は自分を表現する為の不可欠の手段となっていたことにも気づかされました。気がつくと、私にとってピアノはなくてはならない存在になっていました。

スペインに来て既に7年目。大学院で勉強していた頃は、ピアノは遠い夢の話でした。仕事を始めるようになった2008年に偶然音楽図書館を発見し、そこに毎週通うようになりましたが、その図書館もリニューアルの為に閉鎖され、リニューアル後はコンサート等の奏者以外は弾けなくなってしまいました。本当に残念で残念で、ちょっと心が乾いてきたのが去年。そうこうしているうちに、引っ越しをし、少しずつピアノの為に貯金をすることに決めました。

弾くのもいいけど、落ちないでねー!

弾くのもいいけど、落ちないでねー!

夫と話し合い、少しずつ貯金をし、お金が貯まったらピアノを買おうということになりました。が、家計に負担をかけず、欲しいと思っていたピアノを手に入れる為には、何と4年かかることが判明。夫に、「4年なんてあっという間だよ。」と言われましたが、正直それはちょっと長過ぎるなぁ、と悲しくなっていました。とは言え、家を買い、リフォームをし、娘の出費や旅費のこともあり、家計をきりつめて買うほど頑張る訳にもいかず・・・。そのまま数ヶ月が経過しました。時間がある度にピアノのお店をいくつか見ていたので、だいたいほしい商品は分かっていたのですが、もう少し待つことに。

ピアノ到着の日の朝。

ピアノ到着の日の朝。

義父にさり気なく、「ピアノはいつか買いたいと思っているんだ。」と言った所、「前から何回かそのコメントを聞いているから、きっと本当はすぐにでも買いたいんじゃない?」と言われました。鋭いです。ですが、それは無理なことも伝えました。ところが、それから1ヶ月も経たないうちに、義父から、「バレンシアに中古のピアノを扱ったお店があって、なかなか良いピアノがお手頃な値段であるよ。」と言われました。何と、義父が見てくれたピアノはまさに私がほしいと思っていたような種類でした!私は、古くても質の良いピアノを探しており、さらに母方の親戚が浜松市の出身なこともあり、ヤマハの中古ピアノで音のすばらしいものを手に入れたいと思っていました。(実際、ヨーロッパのピアノもいくつか試しましたが、チェコやドイツのピアノの一部は、音質が既に私の好みではありませんでした。)義父も同じようなものを探してくれたようで、私がお店で実際弾いて気に入ったピアノと同じ種類、さらにはそれ以上のレベルのものを見つけてくれたのです。

レンナーハンマーがついていない状態のピアノ。

レンナーハンマーがついていない状態のピアノ。

そこから夫がいろいろと交渉に入ってくれ、製造番号の確認をしたり、音質を見る為に同じモデルのピアノをそれぞれビデオに撮ってメールで送ってもらったり、さらには夜でもピアノを弾けるようにsilencer(スペイン語ではsilenciador)をつけてもらうよう提案したり、と大活躍してくれました。

後ろから見たピアノ。X型の支柱が見えます。

後ろから見たピアノ。X型の支柱が見えます。

先日ピアノが届いた日には、私は仕事場で一日中そわそわしてしまいました。帰宅するなりピアノを触ってみて、その音の美しさに改めて感激し、休むことなく弾き続けてしまいました。久々に弾いたので、やはり指の力も弱っていましたし、感覚もかなり鈍くなってはいましたが、思い切り弾けて本当にうれしかったです。

鍵盤がつきました。

鍵盤がつきました。

その後数日、私がピアノを弾けるようにと夫が娘に夕飯をあげる役をかってでてくれたのですが、その後娘が聞かん坊になって大泣きする日が続いたので、「もしや私がピアノを弾いて娘にご飯をあげなくなったせいかしら?!」と心配になり、それからはちょっとピアノは控えています。(幸い、娘は落ち着いたようです。)

父がかおりの出産祝いに何かを送りたいと言ってくれたので、このピアノの費用の一部を出してもらうことにしました。私たちは地理的に日本と離れていますが、かおりがこういう形で日本のおじいちゃんとつながりを持ち、さらに日本のピアノを使うということで、少しでも日本という国を身近に感じる一助となればと思ったからです。また、日本のものを送ってもらうということも考えたのですが、実利的な私たちは、彼女が一生使っていけるもので、同時に本当に質の良いものをと思い、ピアノが一番良いのではという結論に達しました。

ものすごくご機嫌な娘。

ものすごくご機嫌な娘。

このピアノを買ってから、娘は私にピアノのいすに乗せるようにせがむようになりました。乗せると、彼女なりにピアノを弾き始めます。(私が弾くと嫌がるので、私が弾く機会はほとんどありませんが。)また、以前ピアノを習っていた夫や義弟はピアノを弾かなくなってから随分年月が経っており、彼らがピアノを弾く姿を見たことは皆無に近かったのですが、何と時々ピアノを弾くようになりました!やはり、良い音のピアノだと弾きたくなるのかも知れません。

ちなみに、私たちが買ったピアノはヤマハのUXというモデルで、製造番号から見ると1977年製造。今年で35歳です。このモデルは後ろの支柱がX型になっており、レンナーハンマーと響板がとても良いものだということですが、そのX型の支柱等でかなりコストがかかるということで廃盤になってしまったそうです。母の兄弟のいる浜松からわざわざスペインまでやってきて、こうして私の手元にあると思うと、感動も一入です。ちょうど我が家の近くに音楽教室(Conservatorio)があるので、もし娘が望めばピアノのレッスンに通わせたいなと思いますが、今後の彼女のやる気に合わせて無理せずに・・・と考えています。

さて、誰が一番多く弾くようになるでしょうか。

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8 Comments

  1. こんにちは
    良いピアノが手に入ったようで良かったですね。嬉しそうな雰囲気が文面から感じられました。
    もしかして動画をアップされるご予定はありませんか?ちょっと興味津々です。
    私の姉は音大に入学する頃まで隣の部屋で延々とピアノを練習しており(半ば耳にタコ。。。)、私自身は曲名とか全然わからないものの、街中で突然「あ、この曲知ってる!」みたいな体験をすることがあります。
    お嬢さんもきっと色々な曲を体感していると思いますよ。

    • 高1父さん
      コメントありがとうございます。
      ええ、本当にピアノが到着して幸せです(笑)買うのは当分先だと覚悟を決めていただけに、買えると知った時の喜びは本当に大きかったです。(そして、ボーナスはすべてピアノに消えました。)

      さすがに動画をアップする程の技術も度胸もありませんので、それはご勘弁を。。。それにしても、お姉様がピアノをたくさん練習していたなんて、羨ましい環境ですね。お姉様の動画をぜひ送って下さいませ。楽しみにしております。

  2. ピアノ いいですね。
    三十五年前のもの。 そのころのもののほうが 音がすきっていうひとも多いですよね。

    息子のひいおじいちゃんが すごくピアノが上手だったそうです。
    サロンにたくさん人を呼んで バレンシア出身のイニョキというのちのにハリウッドにわたった作曲家に
    是非ピアニストになれ と勧められましたが 家が軍人なので 泣く泣くあきらめたそうです。

    長男が今 ピアノを弾いています。

    お嬢様 すてきなピアノを持って ラッキー。

    • Cazorlaさん、

      私の夫のおじいさんも歌がとても上手な人だったらしく、彼が歌うと皆が窓を開けて聞き惚れたらしいです。
      が、スペイン内戦で非常に苦しんだ経験を持つ人で、その後はバル巡りをして歌うことはあっても、真剣に自分の将来や子供の教育に向き合うことはなかったらしいです。(こういう悲しい話がスペインにも色々ありますよね。)
      村の人達によると、声はKrausに似ていたとのことなので、聞けなかったのが残念です。

      Cazorlaさん宅は音楽一家なので、きっとヴィオラやピアノで楽しいでしょうねぇ。
      演奏会を開催されたりしませんか?

      • 夫のおじいさん ピアノが上手だったおじいさん。
        内戦のとき たまたまソファにすわってたんですが 
        靴のひもがほどけているのに気づいて かがんで結びなおしたんですって。
        そのとき 銃弾が。ソファに。

        サラゴサで銃刑にされたときも 後ろにひっくりかえって 逃げたそうです。

        強運の人なのに なぜかその後病死。
        家族はみんな百歳こえるのに なぜか短命。ふしぎです。

        家族コンサートになるには まだまだレベルが・・・。
        弦楽器レベルが  わたしですが 低いので。

        先日 娘がチャリティコンサートをしました。
        おとうさんが亡くなった家族の子供たちのために。
        フルート奏者ですが なぜか ピアノを弾きました。

        • cazorlaさんのご主人の家族も色々な話があるんですね。
          夫のおじいさんは洗礼を受けていた為に刑務所生活で済みましたが、そのおじいさんの兄や弟は銃殺にされたと聞きました。(尤も、洗礼を受けたかどうかというよりは、とにかく何らかの理由をつけて殺そうとしたんだと思いますが。)
          その為、夫が洗礼を受けるまではおじいさんは気が気ではなかったそうです。

          昨日、去年いくつかの賞を受賞した有名な映画「Pan Negro」を観ましたが、内線後のスペインの暗さがずしりとのしかかる内容でした。Cazorlaさんのコメントを思い出しました。

          娘さんのチャリティーコンサート参加、素敵ですね。
          音楽ってそういう力があるのがすごいと思います。

  3. Hola haru,
    Acabo de ver tu piano, guauuuuuuuu!
    Pero lo mas bonito de todo es Kaori…… Esta súper grande y guapa, y parece que a ella también le gusta el piano no? Me he quedado impresionada de como esta la peque en serio, es un bombonazo!
    Besitos y que paséis buen fin de semana

    • Hola mis fieles lectores! 🙂
      Gracias por el mensaje. Efectivamente Kaori ha crecido muchísimo y le gusta mucho el piano. (Bueno, lo toca como le da la gana, pero parece que está disfrutando mucho de este nuevo instrumento.)
      Espero que lo hayáis pasado bien también. Habrá que quedar un día cuando estéis tranquilitos.
      Besos,