Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

セゴビアでの結婚式

先週の土曜日に、友人の結婚式に出席してきました。今回の結婚式は私達にとっては特別なものです。なんと、以前かおりのお世話をしてくれたコロンビアの女性、ディアナがスペイン人の男性と結婚することになり、私達を招待してくれたのです。

素敵な結婚式でした。

素敵な結婚式でした。

彼女のことについては以前のブログに書きましたが、以前は「雇用者ー被雇用者」という関係だった私達も、一緒にいる間に色々な考えについて意見を共有することができ、それからも折に触れて連絡を取るようになりました。彼女はとても聡明で、誠実で、彼女からは多くのことを学びました。今では本当に信頼できる友人の一人です。

結婚のお祝いには、Villeroy & Bochのコーヒーカップとソーサーのセットをプレゼントしました。

結婚のお祝いには、Villeroy & Bochのコーヒーカップとソーサーのセットをプレゼントしました。

結婚式には本来は彼女のお母さんも出席する予定だったのですが、何とスペインに入国するためのビザがおりず、お母さんは出席できないことに。移民としてスペインに不法滞在して仕事をしようとする中南米の人が多いこともあり、スペインも監視の目を光らせているのですが、母親が娘の結婚式に出席するのも認められないというのはかなり驚きでした。彼女も相当ショックを受けたようで、本当に可哀想でした。

せめて彼女のお母さんからのメッセージを結婚式で渡すことができればと思い、ディアナに「お母さんを安心させてあげたいから」と言って家族のメールアドレスを教えてくれるようにお願いし、極秘のうちに彼女の妹経由でメッセージを受け取ることに成功しました。また、第二の目的も達成しました。それは、彼女の家族に対し、「スペインで生活することは必ずしも幸せなことではなく、ディアナも今まで多くの苦労をしてきている。それでも家族の前では元気に見せていることを理解し、家族も彼女を支えようとしてほしい。」とのメッセージを伝えることです。反応は・・・きっと分かってもらっていないなぁ、という感じでしょうか・・・。でも、それでも彼女の代わりにこのメッセージを伝えることができて良かったと思っています。

教会の入口。

教会の入口。

結婚式は、セゴビアのソトサルボス(Sotosalbos)という村の、大天使ミカエル教会(Iglesia de San Miguel Arcángel)で行われました。特に新郎新婦がここにゆかりのある人達という訳ではないのですが、この教会の美しさに惹かれてこの場所を選んだと言っていました。それもそのはず、12世紀に建設されたこの教会は、セゴビアで一番美しいロマネスク様式の教会と言われており、柱頭の彫刻の美しさや聖像の歴史には本当に感嘆してしまいました。村自体はとても小さく、人口は130人程度。そのせいか分かりませんが、村の人達はとても親切で、娘はすぐにお友達を作って喜んでいました。

教会内部。壁画の色もかなり綺麗に残っています。

教会内部。壁画の色もかなり綺麗に残っています。

外から見た教会。よく見ると、柱頭や屋根の樋の部分がかなり凝っています。

外から見た教会。よく見ると、柱頭や屋根の樋の部分がかなり凝っています。

金曜日に現地に入り、司祭と一緒に皆で式のリハーサルです。新婦のたっての願いで娘が結婚指輪を運ぶ役になり、私は結婚の為に伝統的に男性が女性に渡すお金(arras)をお盆に準備し、それを新郎に手渡す役に。さらに、夫と私が式の途中で聖書の一部を読むことにもなりました。出席者のほとんどがスペイン人の中、日本人の私が読んで良いのかしら??とも思ったのですが、折角の友人のお願いということで、頑張って引き受けることにしました。まさか、ホテルの部屋で家族全員で結婚式のリハーサルをするとは思いませんでしたが、それも含めて良い思い出となりました。(息子はベビーベッドから鑑賞役。)

ホテルでリハーサルです。

ホテルでリハーサルです。

セゴビアはマドリッドより寒い地域ですが、金曜日は本当に寒くて結婚式はどうなるかと心配しました。

4月なのに、帽子がないと耳が痛くなるほどの寒さでした。

4月なのに、帽子がないと耳が痛くなるほどの寒さでした。

ですが、土曜日は少し気温が上がり、さらに披露宴の直後から晴れ間も見え、日曜日は快晴となりました。

式の当日は、朝食の後に皆で早速準備です。子供達の着替えを済ませ、夫と私の服を準備し、服を汚した時の為の準備、息子のお昼ご飯とおやつ、傘やベビーカーの雨よけシート・・・と、色々な物を用意し、車に荷物を積んで出発です。

式は一次半頃からスタートです。小雨が降る中でしたが、ドレスを着て到着した新婦は本当に素敵で、上品な彼女に白いドレスがとても似合っていました。かおりと私は小さなお盆に指輪を載せて新郎新婦の前を通って歩くことになっていましたが、これは無事に終了。娘が祭壇の前で忘れずにお辞儀をしてくれてホッとしました。

お辞儀の後に、新郎新婦の邪魔にならないようにすぐ退却。

お辞儀の後に、新郎新婦の邪魔にならないようにすぐ退却。

歴史のある教会で執り行われた結婚式はとても素敵なものでした。ただ、色々な役割があった私達はバタバタです。息子はまだ1歳ちょっとなので、機嫌が良くても「あーいあーい」と声を出しますし、悪いと怒ったり泣いたりして声を出すので、何をしてもミサにはそぐわず・・・。加え、何とか間違えずに朗読を終えてホッとしたのも束の間、今度はかおりが指輪を運ぶのをハラハラしながら見守り、新郎に結婚の儀式で使う銀貨を渡し、さらには退屈と空腹でぐずる息子を抱っこして外に出たり、夫の朗読中には娘と息子の相手をしたりしていました。そんな状況でしたが、家族が参加しない披露宴で新婦が寂しくならないようにと努力できたので、個人的には満足でした。

まだお腹が空いていなくて良い子だった時の健斗。

まだお腹が空いていなくて良い子だった時の健斗。

司祭もまたコロンビアの人で、お説教の中で、「夫婦というのは、相手を労っていることを毎日表す必要があります。そして、相手にとって魅力的であろうと努力する必要があります。労りがなかったり、相手の為に努力しなかったりすると、その関係は長続きしません。」と言っていたのが印象的でした。また、「どんなにケンカをしようと、別々で眠る事は絶対してはいけません。それは、理屈をつけて相手を遠ざける第一歩になるからです。」「相手が魅力的に見えたら、それを口にしてあげて下さい。それをしないでおいて、同じ日に別の人が彼(彼女)を魅力的だと言ったらどうなりますか?そういう言葉が相手の心に残ってしまうのです。」と言った内容には、なるほど〜、と思わされました。日本のお説教ではあまりない気がしますが、とても心に響くメッセージでした。

幸せそうな新郎新婦。

幸せそうな新郎新婦。

式の最後には、司祭がディアナのお母さんからの手紙を読んでくれました。式の前に、「式の中で手紙を読むのは難しい。披露宴の時に読んだらどうですか?」と言われていただけに、いきなり手紙を持ってくるようにと言われた時はびっくりして慌ててしまいました。ですが、お母さんからのメッセージを受け取ったディアナは本当に嬉しかったようで、涙を流しながら司祭の言葉に耳を傾けていました。そんな彼女を見て、メッセージを渡すことができて本当に良かったと思いました。

さて、式の後は披露宴です。ここはセゴビアらしく、名物も登場。前菜、アンコウにロブスターのソースがかかったもの、そしてレモンのシャーベットの後には、セゴビアで有名な子豚の丸焼きと子羊の丸焼き(さすがに丸ごとは出てきませんでしたが)、そしてデザートは新郎新婦が入刀したPonche segovianoという、これまたセゴビアのケーキです。どれもとても美味しかったです。

ポンチェ・セゴビアーノというデザート。http://sanmigueldebernuy.blogspot.com.es/2011/09/ponche-segoviano.htmlより。

ポンチェ・セゴビアーノというデザート。http://sanmigueldebernuy.blogspot.com.es/2011/09/ponche-segoviano.htmlより。

ディアナがかおりのお世話をしてくれたのは、かおりが10ヶ月〜1歳10ヶ月までの一年程度。当然のことながら、かおりはその当時のディアナをほとんど覚えていません。それでも、ディアナが本当にかおりのことを大切に思っているのは伝わるようで、会う度に嬉しそうな顔をします。今回の結婚式と披露宴では、かおりも大好きなディアナの為に色々なことをし、イベントを多いに盛り上げてくれました。結婚式で指輪を渡す役ももちろんですが、隙あらばディアナに抱きついて側にいたがり、新郎新婦の席にまで行く始末。さらに、新郎新婦のケーキ入刀にもなぜか参加し、新郎新婦のダンスになると周りをくるくると回って踊り始め、最終的には3人で一緒に踊っていました。ディアナも「お姫様(princesa、いつもかおりのことをこう呼んでいます)」と一緒で本当に嬉しかったようで、見ていて微笑ましかったです。

いつの間にか自分の席を確保した娘。

いつの間にか自分の席を確保した娘。

ケーキ入刀。

ケーキ入刀。

主役は新郎新婦なんですよー!

主役は新郎新婦なんですよー!

ちょっとちょっと、ロマンティックなムードが壊れますよー。

ちょっとちょっと、ロマンティックなムードが壊れますよー。

また3人で。。。

また3人で。。。

小さい子が一人ということで、皆に可愛がってもらいました。

小さい子が一人ということで、皆に可愛がってもらいました。

結婚式の次の日は、天気が良かったこともあり、数年ぶりにバルサイン(Valsaín)という村に立ち寄りました。ちょうど友人達が滞在していたので、久々に皆で馴染みの手作りパスタのお店でお昼をいただき、子供達と公園でゆっくり過ごしました。放牧されている牛や馬、山の緑と小川のコントラストが美しく、心が洗われるような風景でした。

バルサインの牧場の風景。

バルサインの牧場の風景。

馬が草を食むのどかな風景。

馬が草を食むのどかな風景。

健斗も公園でお散歩をして大満足。

健斗も公園でお散歩をして大満足。

ディアナは今頃ハネムーンで母国のコロンビアに着いた頃です。彼女の幸せを願いつつ、結婚という人生の節目に幸せを分かち合えたことに感謝しつつ、こうして日記を書いています。ディアナ、どうぞ末永くお幸せに!!

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5 Comments

  1. 初めてコメントさせて頂きます。
    友人にHarukiさんのブログを教わってから、過去の記事も含めて毎回楽しみに読ませて頂いております。
    ディアナさん、絵本の中のプリンセスのようですね!素敵なお写真を拝見出来て、こちらも嬉しい気持ちになりました^^
    バルサインのお写真にもとても惹かれました。
    平たい山や小川や馬のいる風景は、私が憧れていたアイルランドの風景にとても似ています。
    私事で恐縮ですが、以前からご縁のあったスペイン人とお付き合いすることになり、将来スペイン(バルセロナ)への移住を考えております。ビザについて調べるにつれ不安な気持ちが増すのですが、ディアナさんのお母様の件もショックでした。心が痛みます。ビザの種類や出身国にもよるのでしょうが、それだけ現在は厳しくなっているのですね。
    その分、ハネムーンを楽しまれることを東京の片隅から願っています。

    • > Nanacolocaさん、

      はじめまして。
      子供が生まれてからは、どうしても睡眠を削らないとHPのアップデートができなかったりするのですが、そういう中で楽しみと言っていただけると本当に励みになります。ありがとうございます。

      ビザですが、日本から学生ビザでこちらに来る分には、書類を揃える大変さはあって拒否されるということはまずないと思いますよ。
      その後、労働ビザに変更したりする場合にはまた別の大変さがありますが、時間に余裕を見て準備をすれば大丈夫ですよ!応援しています。

      ディアナのお母さんの件は、お母さんが専業主婦であったこと、まだ若かったこと、出身がコロンビアだったことが合わさって、スペインに不法滞在する可能性ありと思われたのかも知れません。
      残念なことですが、スペインでは多くの人達が中南米の人達を安い労働力として契約外で雇ってコストを抑えていたんです。
      そういう状況が不景気前まで続き、無経験で建設業に従事する人が、博士号まで取って仕事をしている人より給料が高いということもあったんです。
      その反動もあってか、不景気になった今では色々な場所で変化があり、特に移民が職を失うということがよく見られました。こういった問題の根はかなり深いですね。

      nanacolocaさんからのコメントを、ディアナにも伝えておきますね。
      きっととても喜ぶと思いますよ!

      • Harukiさん

        心温まるお返事を早速有難うございます。
        ナディアさんにも伝えて頂けるなんて、とても嬉しいです。
        睡眠時間を削っての記事だったのですね…ますます有難く読ませて頂きますね!
        子育てをしながらまとまった時間を取るのは本当に大変、とやりたいことの多い私の母もよく話していました。
        その分、仕事をするにも何をするにもやること1つ1つの意味が深くなる、とも。

        ビザについて、詳細を教えて頂き参考になりました。
        私の彼も中南米の方の労働問題について何度か話していました。
        アフリカ大陸も近いことから、スペインにとって移民の問題は常に大変ですよね…。
        私の移住についてはお互い経済的な準備が必要なことから、恐らく2016年頃になると思われますが、
        現在のところ学生ビザ→結婚ビザの流れを考えています。
        (その頃にはビザの条件が良い方へ転んでいないかなあ、と偶に思います^^;)
        アイルランドは6か月間学校に通えば1年間滞在することが出来ますし、書類と銀行残高証明さえ提出すればすんなりビザが下りたので、先輩方のスペインでの体験談をインターネットで読み戦々恐々としていました。
        Harukiさんの応援はとても心強いです!

        • nanacolocaさん、

          お返事が遅くなってしまいすみません。
          私の友人では、結婚ではなくPareja de Hechoという制度を使って滞在ビザを取得した人もいます。
          私がこの制度を利用した時は、このマドリッドの制度は国レベルではないので滞在ビザにつなげられないと言われたのですが、今では大丈夫のようです。
          もしご興味があれば、どうぞ彼と一緒に情報を探してみて下さいね。

          • Harukiさん

            有難うございます!
            色々な情報が錯綜していて、Pareja de Hechoの制度は名前は知っていても盲点でした。
            これから調べてみます^^
            そして、前回のコメントにてディアナさんのお名前を間違って入力してしまい大変失礼致しました。
            蚤の市のブログもゆっくり読ませて頂きますね!
            これからも更新を楽しみにしています。