Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

闘牛

闘牛場の外観

闘牛場の外観

昨日、初めて闘牛を見ました!前から興味はあったものの、「流血が激しくて、血の匂いがひどくてその後食欲が落ちた・・・。」とか、「かなりブスブス刺してむごいよ〜。」といった話も聞いていたし、特にチケットを買って観に行く程興味がなかったし。そのまま1年半も経ってました。(これについては、周りから「それでも日本人か!」とからかわれました・笑)

転機はいきなり訪れました。昨日家の問題関係で知り合いの弁護士さんに来てもらったのですが、何とその弁護士さん(女性)、大の闘牛ファン。闘牛場の指定席クーポン1年分を毎年買っているとかで、その席で一緒に見ることに相成りました。

闘牛はスペイン語でToros、闘牛士はTorero。そういえば、昔「トレロ・カモミロ」っていう歌を音楽の時間に習ったけれど、あれは「カモミロ闘牛士」だったんですね。闘牛というと、闘牛士と牛の闘いのみだとばかり最初思っていたのですが、実は違うのです。闘牛の流れをちょっとご説明。

  • ヒラヒラ〜
噂のヒラヒラと槍攻撃。

噂のヒラヒラと槍攻撃。

まず、牛が怒濤のごとく走って登場。すると、あの赤いヒラヒラのケープを持った人達(ここに闘牛士3名が含まれます)が闘牛をおびき寄せては柱の陰にさっと隠れます。こうやって、少しずつ牛を疲れさせます。

  • 槍攻撃

そこに騎兵のような馬に乗り、槍を持った人(picador)が登場。さっきのヒラヒラ4人&メインの闘牛士が少しずつpicadorの方におびき寄せ、そこでpicadorが槍を牛の背中に突き刺します。もちろん、牛は痛くて馬に向かって頭突き攻撃!馬はきちんとお腹辺りを防御されており、ほとんど目隠し状態なので、何をされているか分からず、特に怯えません。(昔はその防御がなかったため、馬のお腹がえぐられたりしたとか・・・。)

そうそう、1頭、牛の頭突きに負けて倒れた馬がいました。そうなると、ヒラヒラ〜がまた頑張って牛を引き離そうとします。馬に生まれ変わったとしてもあの役だけはやりたくない。。。

  • 旗刺し
Banderilleroの見事な技。

Banderilleroの見事な技。

picadorが終わると、今度は派手なヒラヒラが付いた二本の棒を持った人(banderillero)が二人登場。この棒の先が槍のようになっていて、牛が突進して来ると、エイヤ!っとこの人がその旗のようなヒラヒラ棒を牛の背中に刺します。一人2回ですが、下手だと3回程刺します。刺した後はすぐに柱の陰に逃げます。

  • 闘牛士

ついにtoreroの登場。この人の役目は、疲れて血を流している牛を自分のヒラヒラめがけて走らせ、最後に剣で背中から心臓に向けて刺して牛を殺すというもの。このヒラヒラめがけて走らせるというのが、実はかなり技術のいるものらしいです。上手い闘牛士は、牛とぴったり対角線上に向かい合う位置に立ち、体すれすれを牛が通るようにヒラヒラを動かし、さらに胸をピッと反らした状態でその場から動きません。これはパセと呼ばれますが、このパセが上手だと、牛が通る度に皆で「オーレ!」と叫びます。闘牛は毎回3人の闘牛士がそれぞれ2頭仕留める形になっているので、計6回の闘牛が見られます。闘牛士が怪我を負った場合でも、残りの2人の闘牛士で6回をこなさなければいけません。あと、牛がすごく良い闘いをすると、「これ程の牛は殺さずに種牛にしなければ!」と観客が白いハンカチを振って別の牛に替えるようリクエストすることもあります。そうすると、別の牛になることも。なので、闘牛が6回と言えど、必ずしも6頭の牛が闘牛場に現れる、というわけではないのです。常に2頭の牛がストックとして残されています。ちなみに、牛が殺されると3頭のロバが入場し、牛をつないだ後、ものすごい速さで去って行きます。

今回は幸運にも、素晴らしい闘牛(buena faena)をした闘牛士がいて、華麗な技にただただ感激しました。牛が闘牛士のすれすれを通るパセも最高でしたが、牛の力配分を見て牛を殺すタイミングも的確で(一部の牛は疲れきって走れないこともあるのです)、さらに一撃で牛を仕留め(これも結構珍しい)、牛が最後倒れるまでの時間、近くでヒラヒラさせる姿もカッコ良かったー!しかもかなりカッコ良い人でもあった(笑)Sebastián Castellaというフランス人で、今後の活躍が期待されます。

本当に素晴らしい闘牛をした闘牛士には、その牛の耳が与えられるのですが、この闘牛士は見事それをもらってました。(ちなみに、スペイン語で2 orejas = 2 earsと言うと、素晴らしい賞を手にしたという意味にもなります。)そして闘牛士が耳をもらえるかどうかは観客にかかっています。観客が「この闘牛士に牛の耳〜!」と白いハンカチを振るともらえる、、、という感じ。

闘牛って荒っぽいイメージがありましたが、実際観てみて、これはスペイン文化の粋だと思いました。そして、牛は意外とお利口で、闘牛士が少しでも甘いとその部分を牛がついて攻撃することも分かりました。(一人牛に突かれて踏まれて怪我をした闘牛士がいました。)さらに、闘牛士が牛に対する愛情を持っていないと、牛もそれに応えないということも教えてもらいました。本当の愛情がない闘牛士は、牛を疲れさせたり苛立たせたりするだけで、観客も見ていて気分が良くないとか。ふ〜む。

スペインに来た時には、是非一度観てみて下さい☆

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8 Comments

  1. 闘牛って最後に牛を殺すんだね・・・。知らなかった。スペインに行く機会があったら見てみたい。それにしても闘牛場って広いんだね〜。ちょっと予想外。

  2. なんかすごい儀式的な要素が大きいんやねー
    オレもひたすら牛と戦うんだと思ってましたが。
    犠牲になった牛はどうなるんだろう……

  3. 私も牛のその後が気になるかも。やはり食べられちゃうのかな
    そして、カモミロ闘牛士は♪戦いよりも昼寝が好き〜♪なちょっぴりヘタレな人だった記憶が…
    闘牛場が観客で一杯でびっくりしたよ!伝統芸能みたいな感じ?大相撲を日本人が見に行く感覚なのかな?

  4. >こんちゃん
    そうなの、殺すのですよー。
    日本人観光客が団体で来る事もある、って言ってたから、意外と知られているとも思ったけど、普通はあまり馴染みがないものだよね。
    >Goさん
    スペインの闘牛はギリシャ時代から発展してますから、その頃はもっと儀式的だったのかも知れませんね。
    この闘牛場に牛を提供している牛舎も、実は18世紀からそれを行っているトレドの名門牛舎だったり、、、と、歴史が色々なんですよー。
    ちなみに、犠牲になった牛は「どこかで食べられている」と聞きました。どこだろう・・・。
    >あーや
    ふふふ、ご想像通り、食べられます(^^)
    そういえば、カモミロ闘牛士は「牛に背を向け ごろり寝そべり・・・」でした。そんなことしたら踏まれるって。
    私も相撲と闘牛って似ているのかな〜、なんてちらっと思いました。
    違いと言えば、闘牛士は揃いも揃ってカッコいいということでしょうか。
    力士って、そこまでカッコいい人はいないような・・・。

  5. ほぉ、凄い勉強になりました。
    Toreloっていう人が最後うまく刺せば良いってことだよね?馬の役だけは勘弁だね。
    結構観客席に闘牛が入ってきてしまったてなこともあるみたいだね、あな恐ろしや。。

  6. おお・・生々しい〜
    かわいそうだけど一度はみてみたいものですね!
    先日TVで闘牛士を夢見るスペインの少年が、牛に傷つけられた
    頭の深い傷を誇らしげに見せてました笑
    あれっケープがピンクだ!おしゃれ〜

  7. 牛って殺されちゃうんだぁ
    知らなかった。ホントにあれは闘いなんだね。馬も登場するのも知らなかったし。でも私は牛にもなりたくないな

  8. >Hoffnungさん
    うん、正確にはToreroだけどね。
    観客席に闘牛は知らなかったよ。
    でも、観客席と闘牛場の間にしきりを隔ててもう一本広い道があるから、なかなか入れないと思うけど。。。
    サンフェルミンの牛追い祭りは、牛が観客の方に突っ込むこともあるって聞いたよ。
    >木綿子ちゃん
    そうなの、闘牛士になるのがこっちの小ちゃい子の夢らしいし、闘牛士のファンクラブもいっぱいあるし、何だか面白いよ。
    その反面、「闘牛は残酷だ」って言って廃止を求める人も少数ながいるとか。
    ケープの色も変わるらしいけど、最近のトレンドはピンクと聞きました(^^)
    >あいあい
    私も牛はごめんだよ。。。
    闘いは最初はドキドキだったけど、でも、一度観てみると「芸術だー」って気持ちにもなるよ(^^)
    闘牛ってすごいな、って思うけど、やっぱり闘牛士になりたいっていう人の気持ちはちょっと分からないなぁ。怖いもん。