イースター休暇 2.アストゥリアス
私たちが滞在したのはガリシアでしたが、前の日記でもお話したように、そこはアストゥリアスから目と鼻の先。ちょっと足を伸ばしてアストゥリアスにも行ってきました。
アストゥリアスはスペインの中では水に恵まれた地域で、多様な鉱物に恵まれた緑豊かな山々が沢山あります。その為、工場や鉱山での労働や林業に従事する人達が多い場所ですが、過酷な鉱山での労働や事故で死者が出ることも多く、1930年代にはストライキを起こした炭坑労働者が殺されたり・・・と、悲しい歴史のある地域でもあります。カンタブリア海に面しているということで漁業も盛んですが、これまた険しい岸壁についた貝を採ったりする漁法が主なので、生傷が絶えない危険な仕事だそうです。
これだけ書くとちょっと暗い感じがするかも知れませんが、この州全体は本当に自然に恵まれていて、マドリッドにはない緑の美しさを堪能することができます。また、石の薄い板を瓦にした家々はイギリスの田園風景を彷彿とさせるような美しさがありますし、魚介類やチーズ、牛肉の美味しさは格別です。(牛肉はガリシア地方のものが美味しいことで有名ですが、アストゥリアスもなかなかですよ。)その他、リンゴのお酒シードラ(Apple Cider。シードル(Sidre)はフランス語で、スペイン語ではシードラ(Sidra)になります。)の美味しさは天下一品ですし、アストゥリアスの州都オビエド(Oviedo)はお菓子が美味しいことでも有名です。今回はオビエド中心街には行かなかったので、この辺りはまた今度に・・・。
アストゥリアスではもちろん皆スペイン語を話しますが、この土地独特の方言も存在します。聞いていると大体分かりますが、微妙に動詞の活用が違ったり、単語の語尾が変わっていたりします。例えば、雄鶏(「ボス」の意味でも使われます。)の”ガヨ(gallo)”は”ガユ(gallu)”。ちょっと可愛いです。また、子供を表す”ニーニョ(niño)”の代わりに”グアへ(guaje)”が使われたり、動詞の目的語の位置が変わって”Me alegro. (とても嬉しい)”が”Alegro me.”となったり。面白いですよ。
私たちが訪ねた辺りはガリシアの近くだったこともあり、ガリシア語の影響が強く、独特の言い回しがいろいろ出てきました。雌牛(vaca)の複数形は普通は”バカス(vacas)”なのに対し、ここでは”バケス(vaques)”、羊(oveja)の複数形は”オベハス(ovejas)”ではなく”オベイェス(ovelles)”等々。この言語はアストゥリアス語の中の一部として「エオナビエゴ(Eonabiego)」と呼ばれるそうで、今では現地の小学校でも標準スペイン語と一緒に体系的に教えるようになったとか。そもそもアストゥリアス語は一つの独立した言語というよりは方言として捉えられているようですが、こうして自分の地域のことをしっかり学べるのは良いですね。
さて、では私たちの訪ねた地域について。
- タピア・デ・カサリエゴ (Tapia de Casariego)
途中でマドリッドに住む友人マヌエル(Manuel)と落ち合ったのですが、彼の出身地だけあって、一緒にいると知り合いに会うこと会うこと。マヌエルの知り合いが経営するバルでは、シードラの正しい注ぎ方をきちんと教えてもらいました。こうして高い所からシードラを注ぐことで、お酒に空気が含まれ風味が良くなるのですが、注いだ後にはすぐ飲まなければいけません。この空気を含ませて注ぐことを、スペイン語で”escanciar”と言います。こんな単語があるのもシードラの国だからですね。
街は小さい港があり、そこを囲んでレストランやバルがありました。港がとても素敵で、夜の灯台の光が幻想的でした。イースター休暇はなかなか活気があり、人が沢山いました。
また、この街からちょっと出た所ですが、牛舎にも立ち寄りました。牛の飼育はあまり良く知りませんでしたが、牛の成長段階によってグループ分けをしていて、とても丁寧に世話をしている様子が分かりました。なかなか面白かったです。
- カストロポール(Castropol)
ルゴとアストゥリアスを隔てる入り江に面した小さな街で、海がとても綺麗でした。ここではよく結婚式も行われるそうで、魚介類がふんだんにいただけるレストランがいくつもありました。レストランから見える入り江の眺めは最高です。
私たちが行ったレストランは、一緒に旅行をした友人が行きつけのお店で、何と行く前に「日本人が来るなら、是非日本の料理を食べてみたい。」と言われてしまったのです。というわけで、簡単ながらお味噌やその他材料をマドリッドから持って行き、カレーとお味噌汁を作りました。(うーん、取り合わせ的にはイマイチ・・・。)初めてレストランの台所で調理しましたが、色々な器具が本格的で感動しました。コックさんもとても良い人で、楽しくお話をしながらあっという間の1時間でした。
ここのお料理は本当に美味しかったのですが、その内容は別の日記に。
- タラムンディ(Taramundi)
タラムンディは良質の刃物で有名な土地です。(私たちは家にある日本とドイツの包丁で満足なので、特に何も買いませんでしたが。)伝統的な製法で作られる布製品も多く、今でもおばあちゃん達が作業をしている様子を見ることもできます。
また、ここは雨の多く降る地域でもある為、水車や水力発電等、水を利用した装置が至る所で利用されています。中には、16世紀に作られて今でも動いている水車があり、それを利用して小麦粉を挽いたり、洗濯物の水を絞ったり、鉄を延ばしたりする装置を見た時は本当に感心してしまいました。
私たちが行った時にはちょうどチーズフェスティバルが開催されており、スペイン国内の沢山の種類のチーズを試食することができました。ほとんどのチーズがアストゥリアス産のものでしたが、私が特に気に入ったのはカスティーヤ・イ・レオン州のバヤドリッド(Valladolid)のチーズで、モンテケソスというチーズ屋さんの羊のチーズです。(特に熟成したタイプが美味!)お店のおじちゃんと色々なお話をしているうちに、すっかり打ち解けてしまいました。こうして一つの仕事に打ち込んでいる人の顔って輝いているものですね。今度はチーズ作りを見に行きたいものです。
寒かったのが玉に瑕でしたが、普通の旅行ではできないようなこともでき、大満足の休暇でした。
前回から引き続き、とても素敵な写真ばかりですね!
1枚目なんて、映画のワンシーンみたい♪ 水流もすごいですね!
タラムンディの写真は、スペインじゃないみたいです。
というか、私が北部に行ったことがないだけなんですけど(笑)
行ってみたいです。
今年はXacobeo なんですね。
ウチの息子の名前、Santiagoなんです。アンダルシアではかなり珍しいですが。
いつか息子と一緒にCamino de Santiagoを歩いてみたいなぁと思っています。
写真をお褒めいただき、ありがとうございます。
このカメラは日本で買ったものなんですよ♪
アストゥリアスの海岸の波は本当に大きくて、橋を波が超えてしまうこともしばしば。
夫はあの橋のところでちょうど打ちつけた波の水しぶきを浴びてしまいました。(幸いカメラを守ってかぶったので、こちらとしてはホッ・笑)
何はともあれ、北部は本当にお薦めですよ。
私としては、今度はまだあまり知らないアンダルシアに行きたいですね。
>ウチの息子の名前、Santiagoなんです。アンダルシアではかなり珍しいですが。
>いつか息子と一緒にCamino de Santiagoを歩いてみたいなぁと思っています。
素敵ですね!
Santiagoという名前は私も好きです。Santiっていう愛称も可愛いですよね。
長期休暇を取ってCamino de Santiagoへ行かれる際は、お時間があれば是非マドリッドにも。
一度お会いできれば嬉しいです。