Berthe Morisot
先週、久しぶりにティッセン・ボルネミッサ美術館(Museo de Arte Thyssen-Bornemisza)に行き、以前から見たいと思っていた展覧会に行ってきました。
この美術館、あまり知られていないかも知れませんが、プラド美術館、ソフィア王妃芸術センターと並んで、マドリッドの三大美術館として知られている美術館です。個人コレクションとしては、エリザベス女王のコレクションに次ぐ規模だそうで、確かに素敵な絵画が沢山あります。デューラーやファン・ダイクといったフランドル絵画の他、近代では、モネ、ドガ、ルノワール等の印象派の絵画まで幅広く扱っています。
今回の展覧会は、フランスの外では知る人ぞ知る印象派の画家ベルト・モリゾ(Berthe Morisot)と当時の印象派の絵画について。ベルトは上流階級に生まれ、他の姉妹と一緒に絵画を学びます。彼女達の絵画の素養、色彩感覚は当時の多くの画家に影響を与え、同時に女性が社会で活躍するという「お手本」としても重要視されました。特にベルトは印象画家展にほとんど欠かさず出品したことでも知られています。親交を結んだ画家としては、マネ(Manet)、ドガ(Degas)、ピサロ(Pissarro)、ルノアール(Renoir)、モネ(Monet)等の日本でも知られている画家のオンパレード。彼女がほとんど知られていないのが不思議な位です。
マネが彼女を描いたのはよく知られていますが、ニューヨークのメトロポリタン美術館には、ベルトの姉イブ(Yves)をドガが描いたものもあります。こういった絵画を見つけると、画家同士の親交の深さを感じずにはいられません。
ベルト・モリゾとマネの親交は特に深く、お互いの絵画に大きく影響を与えただけでなく、ベルト・モリゾはマネの弟ユージーン(Eugene)と結婚しています。彼女の絵画を見て行くと、家族との幸せな時間や娘の成長を時間を追って眺めることができ、印象派の画風と相まって心が温まりました。一度リヤドロの陶器の人形のシリーズを見た時に、「リヤドロは、人生の幸せな瞬間を閉じ込めるというコンセプトで作られている」という話を聞きましたが、それと似たような感じでしょうか。
今回の展覧会では、同時にベルト・モリゾと交流のあった印象画家の絵も数点展示されていましたが、驚く事に、これらのほとんどはティッセン・ボルネミッサ美術館所蔵でした。ルノアールの”Woman with a parasol in a Garden”は、その花畑の精緻な筆遣いが印象的でしたし、ピサロの”The Orchard at Eragny”の光と影の美しさも素敵でした。
ベルト・モリゾの絵画の大部分は、パリにあるMarmottan Monet美術館から借りて来たものでした。この美術館には、モリゾの子孫が直接彼女の作品を寄贈したそうで、彼女が生涯手元に置いていたものが残っているそうです。そういう意味でも、今回の展覧会で彼女の多くの作品を見られたのは幸運でした。
実は、今回ゆっくり展覧会を楽しめたのは、夫が娘と一緒に週末の買出しを担当してくれたからなのです。金曜日は私が娘とお留守番をし、その間に夫が友人と外出。土曜日は夫が娘と一緒に過ごしました。娘が生まれてから行動に制限も出てきましたが、こういう形でお互いに協力できるせいか、以前よりさらに自由時間をありがたいものと思うようになった気がします。夫に感謝です。
久し振り!この美術館のコレクションは恐ろしいよね。幅広くおさえていて、私の好きなロシア アヴァンギャルドのリシツキーの絵画と売店にはパリでもロンドンでも売っていなかったカタログがありました。あと、ルシアン フロイドとか現代系も。また行きたい美術館です。
いまいくん
お久しぶり!その後シンガポールでの生活はどうですか?
シンガポールと言うと、Food courtの美味しい食事(特に中国粥やマレー料理)を思い出します。
(と、また食事の話に・・・。)
いまいくんは、流石美術が好きな人だけあって、目のつけどころが違うね。プラドでも、ボッシュの「快楽の園」に惹き付けられたと言っていたのを思い出します。流石だなぁ、と感心したよ。
こっちに来る事があったら、また是非連絡して下さいな。
またポルトガルみたいに、いきなり再会なんてなるかも知れないけど(笑)