市場でお買い物
スペインには伝統的な市場が未だに沢山存在しています。こちらの市場では、市場の建物の中に、八百屋や魚屋等いくつもの専門の店舗があるものが一般的です。残念ながら、大型のチェーン店やスーパーマーケットの進出により、こういった店舗は少しずつ縮小しています。また、個人商店の集まりですので、営業時間はスーパーより短いことが多く、値段も特別安いわけではありません。そういう理由から、最近ではスーパーに行く人達が増えています。
とは言え、市場では新鮮な食材が手に入りますし、人と人とのコミュニケーションの良さもあります。安くても栄養価の低い食材を買うよりは、美味しいものを自分で選び、さらに知り合いから買うことによって食材の良さを保証してもらう方が、最終的には安心して食事を楽しめる方が良いと思うようになりました。
私がスペインに来た当初は、まだスペイン語ができなかった為、市場に行く前に必要なものを全て辞書で訳していました。今になると笑い話ですが、市場に行く途中の道で「300グラムの豚の挽肉」と何度も繰り返したことも・・・。スペイン語を話すのに疲れたり、他のことで忙しい時には、人とそこまで話さないで済むスーパーに行ったりもしていました。懐かしいです。
私たちが今行く市場は、スペイン広場の近くにあるMercado de los Mostensesという市場です。この市場は1875年に開かれた後、グラン・ビア通り建設の為に移動し、現在の位置に収まりました。かなり歴史のある市場で、2階建ての建物の中には沢山の店舗が入っています。魚屋、肉屋、八百屋、鶏肉屋(卵も含む)、パン屋(焼き菓子等も含む)といったものの他、モツ屋(内蔵から鶏の脚や鶏冠まで)、冷凍食品屋、アジア食材屋、乾物屋等があります。ちなみに、肉屋の中にも、煮込み用のお肉がおいしいお店、美味しいハムがお買い得のお店、薄切り肉が売られているお店、神戸牛のあるお店・・・など、色々違いがあります。
我が家からこの市場までは徒歩で30分ほどかかります。そこまで近いとは言えませんが、新鮮な食材が沢山手に入る上、レンコン、ニラ、春雨、豆腐、椎茸、エノキ等のアジア系の食材が買えるとなれば、30分なんて何でもありません。毎週土曜日には家族全員で出かけ、沢山の食材を抱えて戻ります。
最近は、いきつけの中国系の八百屋に行くと、娘が「オラー(Hola,スペイン語のHello)」と元気に挨拶をするので、そこの八百屋の女性からいつも何かをもらいます。前は中国系の茄子を一本もらい、娘が何をして良いか分からず困っていましたが。その後にはライチーをいくつかもらい、これは喜んで食べていました。
先日は、母の昔からの友人の女性がスペインに遊びに来てくれました。その人と一緒に市場に行きましたが、どうやらこれも面白い体験だったようです。そして、その夜には市場で仕入れた食材で夕食を作ったので、これまた興味を持ってもらえました。
市場はお昼(午後2時〜5時)はお店を閉める上、土曜日は午後2時までしか営業していないので、スーパーマーケットに比べると不便と感じることもあります。ですが、美味しい食材や特別な食材が手に入る上、人とのコミュニケーションもとても楽しいです。
それぞれの市場に特色があるので、行かれる方は何をメインに見たいか考えてから場所を選んで下さいね。ご参考までに、いくつかの市場をご紹介します。
1. お洒落な市場で色々なグルメを堪能 → Mercado de San Miguel
2. 高級食材がよくある市場 → Mercado de Chamartín
3. アジア食材が豊富な市場 → Mercado de los Mostenses
4. お洒落な市場で食事もできる → Mercado de San Antón
<ご参考>
市場に関する以前のブログ(市場はMercado de Antón Martín):
2007年6月16日「果物のおいしい季節」
2007年6月21日「マドリッドの台所より」