アルムデナの聖母の祝日
11月9日はマドリッドの守護聖人である聖母アルムデナの日で、マドリッドは祝日です。このアルムデナ大聖堂が我が家の近くにあるので、初めて聖母像を見に行ってきました。
マドリッドに住んでいても、マドリッドの守護聖人と言うと、まず最初に聖イシドロ(San Isidro)を連想する人が多いと思います。サン・イシドロが庶民に親しまれる農民の守護聖人であり、同時にマドリッドで生まれて亡くなったことから、彼のゆかりの物に触れられるというのも理由の一つだと思います。また、サン・イシドロの祝日前後に闘牛が開始されること、伝統的な衣装を着た市民(chulapo, chulapaと呼ばれます)が巡礼にサン・イシドロ教会に集まること等もあり、マドリッド全体が活気に満ちているのが感じられます。
とは言え、聖母アルムデナの歴史も実はかなり古く、11世紀にアルフォンソ6世が、「木製の聖母マリア像を信仰していたマドリードの人々が、イスラム教徒による侵略が迫ってきた時に、城塞内部に2本のロウソクに火を灯し隠した」と話に聞く聖母像を城塞跡より探しだし、アラビア語で城塞の意味をもつアルムダイナ(al-mudaina)より「聖母アルムデナ」と名づけたという話があります。反面、この奇跡は、実は首都に何らかの「聖母の奇跡」を創設したかった一部の司祭が作り出したもので、アルムダイナ(al-mudayna)はアラビア語の「都市」という意味のアルメディーナ(al-medina)の省略形でしかないという説もあります。
だから、実在したサン・イシドロの祝日の方が巡礼者も多いのでしょうか??
ここ数日、マドリッドでは雨がよく降り、気温も随分下がってきました。朝の気温が5度以下まで下がる日も出て来て、帰宅してから外に出るのがちょっと億劫になってきました。ですが、前日にふと「そういえば、アルムデナ大聖堂は家からそこまで遠くないし、行ってみようかな。」と思い立ちました。公園の遊具も濡れていて遊べないことだし、娘と公園に行く代わりにお散歩で大聖堂まで行ってみることに。
当日はちょっと雨が降りそうなお天気でしたが、大聖堂に着いた頃には青空も見えました。娘は久々に外に出てご機嫌です。(でも、公園を通り過ぎた辺りで異変に気づいたようでしたが。)到着後も比較的おとなしくしてくれました。
ミサの間は王宮と大聖堂の間の広場で皆と一緒に待ち、お花を供える人達の列を見学です。サン・イシドロ同様、伝統的な衣装に身を包んだ人も沢山見かけました。ミサが終わると、大聖堂の二つの塔の鐘(各塔に2つの鐘が見えました)が鳴り始め、その迫力に圧倒されました。(娘も鐘を指差して「これは何?」とずっと聞いていたほどです。)
その後、大聖堂の扉から礼服を着た人達がグループに分かれて退場です。おそらく、各教会毎の旗と衣装を身につけていたのだと思います。それぞれに教会の伝統(旗、銀の杖、メダル等)とスペインの伝統(かんざし、全身黒い衣装、ベール等)が見られて面白かったです。
前列にいた吹奏楽団が国家を演奏すると、遂にアルムデナの聖母の登場です。白とピンクのバラに彩られてとても堂々とした美しい御神輿でした。最近は、スペインの国歌をこういう場で聞くと本当に感動するようになりました。
娘はだんだん退屈してきたようですが、友人が送ってくれた卵ボーロでご機嫌になってくれ、何とかその場を乗り切ることができました。友人には本当に感謝です!そして、娘と二人で喫茶店でお茶をし(私が頼んだトーストの一部とカモミールを少しあげただけですが)、暖まった所で帰宅しました。
今週は夫が出張で留守なこともあり、娘と二人では行動範囲が狭まってしまいがちでしたが、そういう中でもこのような機会に色々な人と時間を共有できて嬉しかったです。同時に、大聖堂の鐘を聞いて聖母像を見ながら、ふと亡くなった母が側にいるのを感じて、私も娘も見守られているような安心感を感じました。うまく言葉にはできませんが、思い出に残る一日となりました。
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